フィルムへの定着

To the film fixing

2011-05-14

トーンとコントラストについて

本来なら個々の感材について、その感光や現像特性を深く理解し論理的に実地テストとサンプルピース作製し判断するのが正しい方法であるが、ここではあくまで個人的な主観を記録します。

テクニカルデータやアカデミックな内容ではありません。

T-MAXとD-76_MG_8525.jpg


私的に写真を再開するにあたって、<TMAXとD-76>この2つの組合せから始めました。
オーソドックスな現像液として古くからある、メトール主薬のMQタイプ現像液ですがその特性をよく理解してませんでした。より自分の表現に近づくために、中間調から暗部にかけてのトーンを意識したばかりに大きな間違いをしました。

一見、良いように思えたのですが、ハイライト部までの全体のトーンを考えた場合に暗部のトーンは非常に幅がありますが黒がなくなり、そこにはコントラストはありません。だらだらとトーンが沈み込むような感じです。

決してTMAX,D76が良くないわけではありません。私のイメージと合わなかっただけで、t-max現像液では違うシャドウの表現をするはずですし、TRY-Xパンではもっとシャドウはコントラストをもちハイライト側もすっと気持ちよくぬけると思います。

pre1_A.jpgTry-X1:1,D-76

軟調現像液/POTA
軟調現像液の使用は印画紙(マルチグレード)でフィルム濃度域ごとにグレードを変えることにより、フラットなネガでも各領域でセパレーションできるのじゃないかと考えました。(たとえばシャドウ部だけフィルターの号数を変え、コントラストを上げる)有効な手立てではありますが、明部・暗部とプリント時に複雑なフィルターワークと露光時間調整が必要です。
AA9.jpg名称未設定-3.jpg
TMAX-100 POTA 20℃ 9分 シャドウ部のみフィルター#4で多重露光。

撮影照明は蛍光灯とタングステン光(バックグランド)を使用しているのでデーライト照明とはフィルムの感光特性が違いイコールのコントラストにはなりません。また、ファインダー上でバックはほぼ黒でトーンは感じられませんがフィルムには記録されてます。

通常、露光過多は濃度を上げ、ハイコントラストになりますがこのセットの場合、現像時間の増減によるフィルムコントラスト変化もあまり変らず(目視で判断)+1~2分でもフラットなまま、「どょ~ん」とした高濃度ネガに仕上がります。太陽光のオープンであっても同じかなと想像してます。
撮影・現像共に許容範囲の広い組合せですが意図する目的をはっきりしないと結果は真逆になります。

染色現像液/Pyrocat-HD
この現像液の詳細についてはwebにより正確に書かれているのでそちらを調べてください。
pyro_kodak.jpgPyro
Pyro 21℃ 10分             ラベルのアンバー色の様な感じで染まります

ストックしてあったコダックフィルムですが、ノッチの種類が今の処わかりません(TMY100?)。フィルムベースにも若干のカブリがありますが、乳剤自体が染色され全体に非常にコントラストが上がり、
粒子感がありシャープなネガになります。(粒子の周りに輪郭を削ったような?、、、)
2液保存でそれぞれの希釈率を変化させることで調子が変るのと、希釈後の液劣化は激しい。またシートの現像ムラも出やすいのも特徴だがそのコントラストは魅力的だ。
pyro拡大.jpg



モノクロの写真をされる人のために。
すべて標準的な処理方法ではないですが、化学変化による処理はも微妙な変化をともない繰返し同じプロセスをふんでも時には予想しない結果が出る事もある。しかし、そこには発見もあればまた新しいイメージもある。フィルムを現像液に浸ける価値はあります。2011.05.14


__19.jpg

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