Landscape/時間に洗われ、残された海岸線の風景

風景:Landscape

時間に洗われ、残された海岸線の風景

どこまでも静かでゆっくりと日が終わる、
ほんの少し前まではザワザワとして、あらゆるものがうごめいていた。
なのにすっと静かになる。
まだ、日は空に残っている。

水平線にのびた雲が光をさえぎっただけなのだが。さっきまで輝いていた水面はもう寂しいくらい何も言わない。
              撮影地:和歌山/由良 2009年4月
大引浜2B&W.JPG

讃岐白鳥_2B&W.JPG
水平線にみたもの。
長い長いあいだにどうして残ったのか?
特別にどうかと云う物でもない。
残った形でしか見ていないが、ただ不思議だ。

今、自分たちの世の中でも同じように進んでいる。混沌としたいろんなものがあって渦巻きながらそのうちに絶対的な時間を使って、ごくごく自然に淘汰され、その本性のみが残されるのだろう。
              撮影地:四国/香川県 2009年5月

大引浜1_B&W2.JPG

海岸線を陸に沿って、一日中重い器材を背負って歩き回り思った。視線を水平から足元に移してみるとそこにもう一つの風景を発見した。それは波打ち際ギリギリいっぱいの所だ。昼間見た小高い場所から見た海岸線そっくりだった。
風景、そのカタチは相似している。どちらかの一方のスケールを変えることによって、数メートル四方の小さい世界でもまったく同じ自然を内包している。

たとえ同じ風景であっても、注視したその瞬間に姿を変える。それが風景の本当の本性なんだろう。
こころに映ったものは、その場に立った人すべてに一様に見えるもでもなく自分の錯覚にすぎないけれど。
でもそこに、何かを感じる。

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